軽貨物車両として登録するには?

軽貨物運送業を事業として行うには黒ナンバー化が必要になります。

そして黒ナンバーにするには貨物車両を表す4ナンバーもしくは6ナンバーで登録できる事が必要です。

ちょっとややこしいのですが、軽自動車の貨物車として登録された車のナンバーは、黄色のナンバーでも4ナンバーか6ナンバーとなります。

4ナンバー、6ナンバーというのは、地域名の後ろに続く分類番号と呼ばれている番号の2桁もしくは3桁の先頭の1桁目が4であれば4ナンバー、6であれば6ナンバーと呼びます。

※最近は分類番号の2桁目、3桁目に番号ではなくアルファベットが使われることもあります。

ちなみに軽乗用車は5ナンバーか7ナンバーとなります。

4ナンバー・6ナンバー化の条件とは?

そしてこの軽貨物車としての4ナンバー登録をするには、法律で決められた車両としての満たさなければならない条件があります。

前提となる考え方は荷物を運ぶための車なので、荷物を運ぶ車としての基準が決められています。

大きく分けると、

  1.  荷物を出し入れする開口部の面積
  2.  荷物を置く場所の広さ

この2つについて、決められた基準値を満たしていれば軽貨物車両としての申請をして認可が下りる事になります。

1の開口部の面積は車の後部または側面部が軽貨物車であれば縦と横の長さが800㎜以上、軽乗用車であれば縦600㎜、横800㎜以上となっています。

そして投影面積が軽貨物車は0.64平方メートル、軽乗用車は0.48平方メートルとなっています。

開口部の縦横を掛け合わせると、投影面積と同じになるので、長さだけ満たしていればいいかというとそうではなく、開口部が四角形であればいいのですが、四角形でない可能性もあるので、投影面積が決められています。

極端な事を言えば、縦、横の長さは満たしていても、真ん中あたりが大きく凹んでいて、ひょうたんのようになっていたとすると、荷物を出し入れするのが困難になるからです。

2の荷物を置く場所の広さですが、前の席よりも後ろの荷室の床面積が軽貨物車は1平方メートル、軽自動車は0.6平方メートルと決まっています。

これは後ろの席を畳んで平にした状態、もしくは取り外した状態でという事になります。

以上の2つが基本的な要求事項なのですが、これだけであれば軽貨物車だけでなく、軽自動車さえも多くの車種で基準を満たしていることになります。

ですが、もう一つ基準があり、それが満たせないがために限られた車種のみが軽貨物車としての登録基準を満たせることになっているのです。

それは何かというと、シートを全部起こした状態、つまり後部座席も起こした状態で、後部座席の人が乗るスペースよりも、残された荷物を置くスペースの方が広くなければならないと規定されているのです。

ですので、元から軽貨物車として作られている軽は後部座席の足元が狭くなっていて、人を後部座席にゆったりと乗れるようには作られていないのです。

そして、さらに荷物を積める総重量が2列目以降の最大乗車した乗員の総重量よりも大きい事が必要になっています。

ということで、軽貨物車として作られている軽バンタイプは、元からこれらの基準が満たされるように作られています。

どのようにすれば軽乗用車を軽貨物車両にできるのか?

とすると、普通軽乗用車は4ナンバーとして登録できないのかというと、改造すればできるのです。

改造と言っても上記の条件を満たせばいいわけですから、基本的にはそれほど難しくはありません。

と言っても、開口部が基準を満たしていない場合などは、簡単な改造では済みませんので、ワンボックスタイプの軽乗用車であれば、たいていは開口部の基準は満たしていますので、あとは荷室の床面積を満たせればいいことになります。

ではどのように改造するのかというと、後部座席を取ってしまうのです。
もしくは畳んだ状態で絶対に起こせないように固定します。

起こせないようにするよりは、取ってしまった方が手っ取り早いので、たいていは取ってしまう方を選択します。

後部座席が付いていると、通常の軽乗用車は後部座席の方が広く作られているため、基準を満たせなくなってしまうので、後部座席を取ってしまえば、そもそも後部座席は起こせないので、基準を満たせるという事になるのです。

これで、開口部と荷室の面積と重量の基準はクリアできるので、4ナンバーの登録申請をする事ができます。

軽貨物運送業として黒ナンバーを取得する前提として、車両が軽貨物車両として登録できるのかという事で見てきました。

既に所有している車両で黒ナンバーにしたいというのであれば、今説明したような改造が必要になる場合がありますが、これから車両を取得するのであれば、最初から軽貨物として作られている車種を選択したほうがいいです。

それはなぜかと言うと、最大積載量が普通軽乗用車を4ナンバー化した場合は100kgか150kgと少ないからです。

最初から軽貨物車である車両はたいていが350kgになっています。

荷物をナンボ積んでいくら収入になるという運送業にとって、最大積載量がそのまま収入に跳ね返ってきます。

ですので、とりあえず手持ちの車で始めてみる、という以外は軽普通車両ではなく、初めから軽貨物車両を購入するのがいいでしょう。

始める前に準備しておきたい軽貨物運送に必要な道具など。

軽貨物車両のタイプ

軽貨物バンには低温車と常温車の大きく分けて2種類あり、その種類によって受けられる仕事が変わってきます。

 

低温車は維持できる温度が何度まで設定できるかで2種類に分けられます。

 

マイナス20℃以下、マイナス30℃まで冷やせる冷凍車、+5度から0℃まで冷やせる冷蔵車に分けられます。

 

冷凍車はアイスクリームや冷凍食品の運搬、冷蔵車は生鮮食品である野菜や肉、魚などの運搬向けになります。

 

冷凍・冷蔵車の方が常温車に比べて出回っている台数が少ないため、受給のバランスで言えば、需要が多く供給が少ないため、仕事が無くて困る事は少なくなります。

 

また運賃も高く設定されている場合が殆どです。

 

ただしメリットばかりでなく、デメリットもあり、冷蔵車、冷凍車は荷室が専用になるので、普通車のように仕事以外で人を後部座席に乗せる事はできなくなります。

 

完全な仕事専用車と割り切る事になります。

 

また冷凍するために電力を使いますのでその分バッテリーの寿命が短くなり、冷凍にはエンジンの動力を利用するために燃費も悪くなります。

 

貴重な低温車ですが、逆に考えると融通があまり利かないので、緊急で入る高単価のスポット便などの仕事はやり難くなります。

 

相対的な仕事の多さ、運賃が高いことと、維持費や仕事以外での使い勝手の悪さを考えて低温運搬の荷物専門でやっていくのか、常温の普通車でやっていくのかをよく考える必要があります。

 

 

 

常温車にはバンタイプの車両と、赤帽などで良く見かける幌車があります。

幌車は荷室の形状が違うだけで運ぶものは常温になります。

メリットとしては、荷室が一体型のバンと比べると背の高い荷物を運べたり、運転室に臭いが入り込まないので、臭いが出たり、工業製品で多少の汚れた荷物も運べたりします。

 

デメリットとしては鍵が掛からないため、盗難の心配があったり、外部からの埃が徐々に溜まりってきて汚れが付きやすいといったことがあります。

バンタイプの魅力は仕事以外では普通車となり、家族や友人を載せてレジャーでも使えるという事があります。

 

また自分で購入して所有すれば、外観のパーツや装備を変えてかっこよくしたり、おしゃれにもできます。

 

メーカーで販売しているグレードで乗用車に近いグレードもあるので、シートが快適な作りになっていたり、軽貨物専用ではなかなかない、リモコンドアロックやオートパワーウインドウといった装備が付いていて、快適なモデルが選べるという事があります。

 

ただ、乗用車に近いグレードは後部座席のシートも荷物専用タイプよりも構造や作りがしっかりしているため、シートを倒してフラットにした時に、多少斜めになってしまい、まっ平なフラットになり難いという欠点がある車種が多くなります。

 

常温にするか低温にするか、一度決めて車両を購入してしまうと、簡単には変えられないので、じっくり考える事が重要です。

 

始めたばかりの頃は、まずはリースやレンタルで常温で慣れてから低温に挑戦してみる事をおすすめします。

 

 

カテゴリ:軽貨物運送の始め方 

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